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動悸について

動悸の話

新型コロナウィルス感染症(COVID19)が世界中に広がり、我が国も大きく影響を受けております。最初は、この感染症は肺の病気であると言われてきましたが、患者が増えてくると、心血管にも障害を起こす可能性が指摘され、心血管疾患に持病があるか否かが、大きな関心事になってきております。しかし、我が国では、新型コロナウィルス感染症はほとんど流行していないので、心臓の症状があっても新型コロナウィルス感染症による可能性は低いです。とはいっても、この時世、動悸を自覚なさることがあると思います。ご不安になれば、お気軽に受診なさってください。

動悸とは

坂道を登ったり、階段を昇ったりすると「動悸、息切れがする」とおっしゃる方がいらっしゃいます。心臓の息苦しさを動悸と表現なさる方がいらっしゃいます。厳密に言うと、動悸というのは息苦しさではありません。動悸とは「心拍の不快な自覚」です。心臓がドンドンと胸の中で打って、嫌な感じになることが動悸です。ですから、動悸、息切れは一つの症状ではないのです。動悸と息切れは、別の症状です。

動悸の診断アプローチ

心臓の鼓動を自覚するときに、動悸というのです。胸がバクバクする感じです。この動悸には、①心臓の拍動が乱れて異常になった場合、②心臓の機能が衰えて拍動が過剰になった場合、③心臓には異常がないが身体中の組織が心臓に過度の要求をして心臓が過剰に拍動しなくてはならない場合、④心臓の拍動は異常がないが、それを過敏に自覚し不快に感じる場合が考えられます。①は不整脈、②は心不全、③は発熱や貧血のような全身異常、④は気分障害です。それを話を聞いたり、検査をしたりして診断をつけていきます。検査には、心電図を身体にとりつけて、24時間記録し、その異常を検出する方法(ホルター心電図)、心臓の動きや弁の異常を見つける方法(心エコー図)、全身の病気を見つける方法(採血、胸部X線写真)があります。しかし、何といっても問診が非常に重要です。動悸が起きた時の状況をお聞きすれば、だいたいの診断をつけることが可能です。

よくある質問

Q1 不整脈とは、どういったものですか?

心拍のリズムの異常を「不整脈」といいます。 

心臓は、通常1分間に60100回、規則正しいリズムで収縮と拡張を繰り返しています。洞結節という心臓上部にある特殊な心筋細胞の集まりから発生する電気的刺激が、心房、房室結節を経て心室に伝わることにより起こります。

1日に10万回も拍動しているので、ときに不規則な動きを示すこともあり、6割以上の人に、なんらかのリズム異常がみられます。大半は心配のいらない不整脈ですが、中には、強く不快な症状が出る場合や、心臓病の初発症状である場合もあります。

Q2 脈が乱れると、どうなるのですか?

最も多くみられ、危険度の低い不整脈に、『期外収縮』があります。洞結節以外から余計な電気的刺激が生じるため、拍動が不規則になります。

多くの場合は、脈が抜けるという感覚があります。症状は、まったくの無症状から、夜も眠れないほどの動悸や不快感などとさまざまですが、心臓に他の疾患がみあたらなければ、とくに心配の必要はありません。

中高年によくみられる不整脈に、『心房細動』があります。65歳以上で約3%、70歳以上では約5%、80歳以上は約10%と、高齢になるほど増加します。

心房の中で電気的興奮が無秩序に旋回するために心房が細かく震えて、機能的には収縮していない状態になります。

主症状は動悸ですが、これも無症状な場合があります。期外収縮と違って、放置しておくと心不全や塞栓症を合併する可能性があるので、治療が必要です。このほかにも、さまざまな種類があり、緊急の治療を要するものもあります。

Q3 発見は、むずかしいのですか?

不整脈は心電図検査でしか診断できません。激しい動悸などがあれば、誰でも迷わず病院に駆けつけるでしょう。そして、診断時にも症状が続いていれば、すぐに対処することもできます。

しかし、症状の自覚と危険性とは相関せず、無症状なものも多くあります。しかも、症状があっても、一過性、発作性のものが多いので、診察時には、異常がみつからない、ということも珍しくありません。そのため、検査では、運動によって心臓に負担を加えて誘発させたり、小型の装置を装着した状態で普通に生活して、24間の心電図をとったりします。また、最近では「携帯型心電図記憶装置」も一般に普及してきました。これにより、発作を逃さず記録し、不整脈の正体を、すぐにとらえることができるようになりました。一過性で発作性のやっかいな不整脈、少しでもあやしいと思ったら、こういったものも利用してみるのもよいでしょう。

 Q4 治療・予防法を教えてください。

心臓病や心臓に影響する病気、強く不快な症状がある場合には、薬物療法や、電気ショック、ペースメーカ、カテーテル・アブレーションなどを実施します。カテーテル・アブレーションとは、先端に電極のついたカテーテルを用いて、不整脈の原因となる異常刺激の発生部位を凝固壊死させるものです。しかし、不整脈の大半は治療が不要ですし、軽い不整脈なら、薬物療法と日常生活の管理ですみます。改めるべき生活習慣とは、暴飲暴食や、睡眠不足、ストレスの蓄積、過労、カフェインの過剰摂取、喫煙などです。心臓は、自律神経の支配を受けています。予防のためにも不摂生を改め、自律神経の乱れを防止し、不整脈発生の引き金を引かないようにしましょう。