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男性型脱毛症について

男性型脱毛症

AGA(エージーエー)という名称で、目にすることが多いと思います。Androgenetic Alopeciaの略です。成人男性によくみられる髪が薄くなる状態のことです。思春期以降に額の生え際や頭頂部の髪が、どちらか一方、または両方から薄くなっていきます。一般的に遺伝や男性ホルモンの影響などが主な原因と考えられています。

院長の経験談

年をとると髪の毛が薄くなってきます。白髪も出てきます。6年前に、自分の髪が薄くなってきたので、友人のアドバイスにより薬を飲むことにしました。その友人は、私の大学の同級生です。彼は、台湾出身で、母国で兵役を済ませたのちに、日本で受験勉強をして医学部に入ってきました。倍率50倍という難関を突破してきたのですから、強い意志と優秀な頭脳の持ち主であると思います。彼は、日本語がそれほど得意ではなかったので、私がいろいろと勉強の手伝いをしました。6年間、非常に親しく過ごしました。彼は、卒業して日本の医師免許をとると、すぐに渡米して、向こうの医師になるべく、さらにレジデントとなり、米国の医師となりました。彼の一家は、台湾から全員、米国へ移住したのです。私が、米国留学した時は、勝手がわからない私たち一家を応援してくれて、お世話になりました。

その後、彼は毛髪移植専門の医師となり、多くの薄毛の人を救ってきました。カリフォルニアでは、男性薄毛治療医として多くの患者に信頼されているということを聞いていました。4年前に20年ぶりに再会した時に、彼が、私にアドバイスをしてくれたのです。アドバイス通りに、私は4年前からその薬の内服を始めました。最初は、効果を、なかなか実感しませんでした。しかし、彼のとにかく1年飲んでみろというアドバイスを信じ、継続しました。この写真がその結果です。

ウェルエイジングを実践するためには、心血管病を予防することが第一です。しかし、筋力、知力、そして外見もウェルエイジングには重要です。循環器診療とは直接関連しないかもしれませんが、これほど効果があることを、当院で紹介することは、重要であると感じ、開院時から、患者さんにお話ししています。巷のクリニックでは、クリームや外用薬も一緒に使っていますが、内服薬のみで十分に効果が出ます。海外で作られた薬を処方しているところもありますが、やはり日本の薬事承認を得ているものの方が、安心感があります。そこで、当クリニックでは、日本製の薬事承認されたものを処方することにしました。価格が安いジェネリックを処方しています。大切なのは、内服する量と期間です。これに気をつければ、副作用もほとんどないと思います。

治療前後の比較(院長)

AGA(男性型脱毛症)はなぜ起きるのか?

AGAの発症には男性ホルモンの「テストステロン」と、前頭部から頭頂部に存在する体内の還元酵素「Ⅱ型5αリダクターゼ」が主に影響すると考えられています。テストステロンは、Ⅱ型5αリダクターゼによってDHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれるより強力な男性ホルモンに変化します。このDHTは前頭部から頭頂部に存在する毛髪のヘアサイクルを短縮させる作用があるため、髪の毛が成長する前に抜け落ちてしまい薄毛が進行すると考えられています。

ヘアサイクル

頭皮の下にある髪の部分を毛根といい、この毛根のいちばん下にある毛乳頭という部分で髪が作られます。毛乳頭の周囲にある毛母と呼ばれる細胞群(毛母細胞)が、周囲の血管から毛髪に必要なアミノ酸などを吸収し、細胞分裂を繰り返し増殖します。できた細胞は少しずつ頭皮の表面に向かって押し上げられ、毛髪となって皮膚の表面に達します。この増殖により、毛髪は伸びていくのです。その速さは1日で約0.3mm、1か月で約812mmくらいです。この増殖をしている時期をヘアサイクルの成長期と呼びます。この成長期は、26年くらい持続します。成長期が終わると、毛乳頭細胞が毛母細胞から離れ、移行期にはいります。すると毛母細胞への栄養の供給も減少し、細胞分裂は減少していきます。さらに毛乳頭細胞は縮小し、休止期に入ると、毛母細胞は細胞分裂をしなくなります。2-3か月の休止期の後に、脱毛します。そして、再び毛母細胞群は分裂を始め、毛髪が作られるのです。このように毛髪は、周期的に発毛と脱毛を繰り返しているのです。この周期を、ヘアサイクルと言います。周期は、男性が35年、女性が46年と言われています。このサイクルによって、1日平均5070本の毛髪が自然脱毛するといわれています。

フィナステリドとは

フィナステリドはAGAの進行を抑え、髪の毛が生え変わる周期である「ヘアサイクル」を正常な状態へ戻すための治療薬です。アメリカの医薬品管理局であるFDAでも認可されているAGA治療用の薬剤で、世界中で広く利用されています。AGA治療薬として、アメリカのメルク社が開発した「プロペシア」があります。このプロペシアの後発品(ジェネリック医薬品)が「フィナステリド錠」です。

フィナステリドには、このⅡ型5αリダクターゼを阻害する働きがあります。この働きによってテストステロンがDHTに変化されることを防ぎ、DHTによって短縮されたヘアサイクルを正常な状態に戻すことが可能です。ヘアサイクルが元に戻ることで髪の毛も太く長く成長できるようになるため、薄毛になっていた部分が回復していきます。

 

服用開始から効果を実感するまでは、一般的に6か月程度の連続投与が必要といわれています。ヘアサイクルを正常に戻す効果はフィナステリドを服用開始した時点から作用していますが、乱れたヘアサイクルが正常な状態に戻るのにある程度時間がかかるため、効果を実感するまでには数か月の時間を要します。


フィナステリドの副作用

フィナステリドの副作用には、性欲減退や勃起機能障害(ED)などの男性機能低下、肝機能障害などが挙げられます。しかし、EDなどの副作用に関しては臨床試験においてプラセボ患者とほぼ同様の発生率となっており、発症機序も明らかではなく危険性は低いといわれています。ただし、この試験はあくまでも発症率が低いということを示唆するものであり、副作用が現れる可能性はゼロではありません。服用後に異常を感じた場合は、医師にご相談ください。

1)     性機能障害

勃起機能障害(ED)や性欲減退、精液減少、射精障害など性機能障害の副作用は、フィナステリドが男性ホルモンに作用することに起因すると考えられています。発症率は極めて低いものの何か異常を感じた際は医師に相談するようにしましょう。

2)     抑うつ

稀な副作用ではありますが、抑うつの症状も報告されています。抑うつに関しても、フィナステリドが男性ホルモンであるDHTを抑制するため体内のホルモンバランスが乱れることが関係している可能性も否定できません。リスクは低いものの絶対に発症しないとは言い切れないため、きちんと専門知識のある医師のもと服用することが望ましいといえます。

3)     前立腺癌の検査をする場合には、注意が必要です

フィナステリド内服は、前立腺癌を調べる腫瘍マーカであるPSA値を低下させます。フィナステリド投薬により男性型脱毛症患者におけるPSA 値は4049 歳で40%5060 歳で50% 減少したと報告されています。これらより,同じような効果を有するデュタステリドの添付文書には,重要な注意事項として,PSA 測定値を2 倍した値を目安として基準値と比較することが述べられています。

治療費用

この治療は、健康保険がききません。また、定期的に通院する必要があります。気長な治療です。費用は最初は、約7000(税込み)です。継続なさる方は、月に5200円(税込み)となります。詳細は、お電話、あるいはメールでお問い合わせください。

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