抗スパイク抗体検査(10500円)
ワクチン接種により作られた抗体検査
当院では、ワクチンを接種して作られた抗体の存在を検査することができます(税込10500円)。これは、S抗体と言って、スパイクに対する抗体(抗Spike抗体)です。この検査は、新型コロナウィルスにかかったか否かを知る抗体検査ではありません。抗Spike抗体と中和抗体価は高い相関性を有していますので、この抗体の存在により中和抗体の存在を知ることができます。米食品医薬品局(FDA)より緊急使用許可(EUA)を取得したAnti-SARS-CoV-2 S 抗体定量検査試薬(ロシュのElecsys®)を用いて定量いたします。
ワクチンで作られる抗体
ワクチンは、ウィルスの周囲のスパイクタンパク質に対する抗体(抗Spike抗体)を作るように設計されています。ワクチンを2回接種して1週間以上経過した頃にこのスパイクに対する抗体が作られることがわかっています。当クリニックでは、このスパイクに対する抗体を測定することができます。
新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)の変異株が流行っています。多くの変異は感染力や病原性に影響を与えることはありませんが、今日本で流行りつつある変異株は、感染力が強く、重症化率も高いという性質があるみたいです。
スパイクの遺伝子に変異が起きると感染性や中和抗体の効果に影響を与えるのではないかと懸念されています。しかし、今日本で流行している変異株に対して、ワクチンで作られる抗体が効果を有するということが示されました。
新型コロナワクチンの効果について
いま国内で接種が行われている米ファイザー社と独ビオンテック社のワクチン「コミナティ」、米モデルナ社のワクチンは、mRNAワクチンです。これは、SARS-CoV-2ウィルスの持っているスパイクの遺伝子情報であるmRNAだけ合成してワクチンとして投与するタイプです。投与されたmRNAにより、からだの中でスパイクタンパク質が作られます。そしてそのスパイク蛋白に対する抗体が産生され、感染予防に役立つのです。アストラゼネカのワクチンは、「ウイルスベクター」と呼ばれるタイプで、チンパンジー由来の一般的な風邪のアデノウィルスを弱毒化し、体内で増殖しないように処理をした上で、そのアデノウィルスにSARS-CoV-2ウイルス表面のスパイクタンパク質の遺伝物質を組み込んだものです。これも、同じように体内でスパイクタンパク質が形成され、その抗体が産生されて予防効果が生まれるのです。
米ファイザー社のワクチンは、新型コロナウイルスの発症を防ぐ効果が95%あると報告されています。米モデルナ社のワクチンは、発症予防効果が94.1%と報告されています。承認申請中の英アストラゼネカ社のワクチンは、海外で行われた臨床試験では平均70%の効果と報告されています。
このように、これらのワクチン接種により、SARS-CoV-2ウイルスの表面のスパイクタンパク質が体内で形成され、実際にSARS-CoV-2ウイルスに感染した時に、ウイルスを攻撃するよう免疫システムが刺激されるのです。
この効果は、65歳以上の対象者でも同様で、高齢者でもワクチンの効果があることが確認されています。